ペットロスエッセイ
ペットロスエッセイ


第2回「ペットロス」エッセイコンテスト
選 評

≪第2回コンテスト―総評≫

いまや15歳以下の子どもの数を上回ったといわれるペットの数。その分、毎年毎年、動物との数多くの別れのドラマがあるはずです。我が家でももう数年前のことになりますが、重い障害を持ちながらも17年も家族の一員として共に暮らしてくれた猫を見送りました。忘れるのも自然です。また新しい出会いが生まれるのもいいですね。けれど時に思い出し、偲び、感謝する、そうした気持ちもまた自然です。愛するものへの愛惜や別離の悲しみ、また感謝の気持ちをエッセイなどに書き残すことで、悔恨や後悔を昇華できる機会になればとの趣旨から始まったこのコンテスト。書き手ご自身が、ペットロスの悲しみを乗り越え、その分だけ、より深い、より強い心を得て日々の暮らしを充実して生きておられるそんな様子が感じられ読み手にも伝わる、そんな作品を推薦し、ぜひ多くの方にも読んでただきたい。そんな気持ちで今年も最終選考会に臨みました。

昨年の1.7倍にものぼる応募数。グランプリを含む優秀作4編も、選にもれたどの作品も、すべて書き手の深い思いや動物への感謝がいっぱいに詰まった、裕かで温かい作品ばかり。どの作品にも共に暮らした動物への深い愛情と感謝の気持ちが込められていて、もちろんそこに優劣やランクなどは存在しません。そして選考を通じ、このコンテストの役割や使命をあらためて教えていただいた次第です。年一回の追悼の機会、供養の機会として、もうすでに「一人歩き」しているという実感。そして、こうして毎年毎年続けられるべき存在、役割なのだ、というコンテストへの確かな“手ごたえ”を。

選考委員長 引地 幸市(メディア・プロデューサー)



想いのあふれる作品、じっくり拝見しました。犬・猫から、ウサギ・フェレット・モルモット・ハムスター・カタツムリなど小さくても命の重さも愛の深さも同じで、大切にしてもらっていること、獣医師としてうれしく思いました。

ラジオで『宏子先生の動物クリニック』という番組のパーソナリティをしていると、ペットとのコミュニケーションの喜び、さらに、ペットを通して人との交わりも増えたという楽しいお便りがたくさん届きます。今回の作品を読むと、姿が亡くなってもペットたちが遺してくれた人との絆や想い出は一人ひとりそれぞれに強くなったり膨らんだりしています。

ペットロスはペットがいやすと言われていますが、言葉はなくても心を汲んで応えてくれる動物たちの力の大きさに感動しています。皆同じ気持ちなんだ、とこの活動を通して動物たちと心を豊かに過ごせる日が多くなることを祈っています。

選考委員 清水 宏子(獣医師・エッセイスト)



はじめて、審査に参加させていただいた。

率直なところ、多くのどの作品も人間とペットとの真剣な付き合いが語られている。

人間同士ではなかなかこうした関係を築くことは難しいだろう。

個々の作品は、状況や背景が違うのだから当然様々な思いや内容が綴られているのだが、そこに共通するキーワードは「共生」という事ではないかと感じた。

共生には、「自然」や「動物」・「社会」や「人間同士・国同士」に於ける幾つも違う形態の共生がある。今回選出されたどの作品も、いまや現代社会が失った人間本来の命題をも見事に示唆しているようで、人間のあり方を動物からつくづく学んだ思いである。

選考委員 仙波 英正(元(財)日航財団企画部長・Japan Eco Kids Labo 代表)



昨年にもまして多くの優秀な作品の応募があり、それだけに正直なところ評価が大変でした。また、学校からの参加もあって、このコンテストが広く社会的意義をもち始めていることも注目されます。今年の作品には、ペットロスをめぐって、家族や人生、社会とのつながりを考えさせ、さらには地球環境へと想いを馳せるなど、現在の世界の状況を巧みに映したエッセイが多くありました。また、表現的にもメルヒェン調などの優れた作品が寄せられました。今年の入賞作品が、動物愛護を通して広く人生や社会を考える、よすがになることを希望しています。

選考委員 平井 東幸(元嘉悦大学教授)



今回の作品選出に当り、二点が特筆される。第一に、環境問題に踏み込んだ作品が増えたこと。第二に、ペットの範疇が拡大されたこと、である。

企画募集は二回目であるが、早くも応募者の目線は、広く、深くペットロスが抱える多くの問題点を指摘している。

これら貴重な体験談は、ペットロスで苦しむ人々を見てきた私自身にも、ある示唆を与えてくれた。文章を書いた後の応募者の率直な気持ちの変化を、聞いてみたいという衝動に近い示唆である。

選考委員 町野 洋一(メディア・プロデューサー)



昨年と比較しても今年は力作が多く、審査員それぞれが候補を選ぶのに苦労し、選考会でもさまざまな意見が飛び交った。結果4点に最終的に絞ったが、選に漏れた中にも読み応えのある作品が多かった。

また、茨城県の中学校と大阪の専門学校で授業の一環として参加いただいた。コンテストを通じて心の癒しや心情形成に役立てればと始めた主催者としては望外の喜びである。お取組みいただいた先生方、ご応募いただいた学生の方々には感謝し、審査員奨励賞を贈ることにした。同時にコンテストの意義と責任を感じ、無事第2回が終了したことを皆様に感謝したい。

事務局 宮坂 圭一郎(セブンシーズ・コンサルタンツ)



《選考委員紹介》

委員長 引地 幸市 メディア・プロデューサー
元文化放送理事、開発部長
委 員 清水 宏子 獣医師
エッセイスト
委 員 仙波 英正 元 財団法人 日航財団企画部長
JAPAN ECO KIDS LABO 代表
委 員 平井 東幸 元嘉悦大学教授
元株式会社繊維総合研究所取締役
委 員 町野 洋一 メディア・プロデューサー
元テレビ東京 プロデューサー
委 員 宮坂 圭一郎 セブンシーズコンサルタンツInc

《第2回コンテスト入賞作品一覧(6篇)

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